民俗女子の自由帳

~この世は不思議が多すぎる~

【謎の神様】思わぬところで再会! 街中で出会った滅んだ神様

以前、滅んだ神様で紹介させてもらった馬の神様……蒼前神(そうぜんしん)ですが、なんとふらりと歩いた街の中で偶然見つけてしまいました!

 

ちなみにサクッと蒼前神について復習させていただくと、北関東や東北で信仰された、地域限定の馬の神様です。でももう馬なんて飼う人もいないし、かつて私が見つけた栃木県川治温泉近くの道端にあったものも、大正7年に作られた石碑が最後のようでした。

 

で、今回見つけたものは、栃木県栃木市の大平町というところ。縄文時代が大好きな方は、行ったことがなくても「あのあたりだ!」とピンと来るのではないでしょうか。なぜならそこは、関東平野が終わる場所。温暖化で奥東京湾が形成されていた縄文時代、最大でこのあたりまでが海だったのです。(↓赤丸で囲んだ栃木市あたりまでが海)

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なぜそんな場所に行ったのかと言えば、学問の志高く、「人生は常に勉強だ……!」と思っていたから、という殊勝な理由はまったくなく。そのあたりの山は緩やかな丘の洋で、ふもとの大学で講師をしている方が、「講義が終わったあとにスーツで途中まで登っちゃった」などとおっしゃっていたので、体力のない自分でも行けるのではないかと甘い期待を抱いてそそくさと出かけてみたという次第です。(山を舐めちゃあかんので、ちゃんと装備は揃えましたが)

途中、道を間違えて地元の親切なおばあちゃんに助けてもらったり(あと、「うちの味噌おいしいから買いに来てよ!」と言われ、携帯番号を交換……w 今度行ってみる予定)、また、山道で会ったおじいちゃんに、「ニリンソウの咲いてる場所を教えてあげる!」と声をかけられ、あまりによろよろ歩かれるので、ニリンソウうんぬんよりも滑落のほうが怖くて「ニリンソウ、結構です! それより落ちたりしたら危険……うわ⁉(←自分が滑る)」という経験をしながら、どうにか登山を終えました。(ちなみにおふたりとも八十代くらいでした。たぶん、私より元気……)

 

いろいろあって山を下り、だだっ広い平野へ。

くだんの講師の方が、「栃木のB級グルメ、いもフライがおいしいよ!」と教えてくれたので、JRの線路を渡り、東武線の線路も渡り、ひたすら歩いてお店に移動しました。

で、その途中で例の蒼前神を見つけてしまったのです! ちょっと大きめのお屋敷……昔は豪農だったのかな、と思わせる家の前にぽつんとあったのがこちら。

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馬力神!

そうなんです、蒼前神の別名は馬力神! 「こんなところで会えるなんて!」とテンションが急上昇しました。言うなれば、知らない街で仲のいい友人に数年ぶりにばったり、みたいなうれしさです。

ちなみにあまりにうれしすぎたせいか手元を誤り、側面の写真が切れていました……。

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念のためにとったメモには、「右側面:大正六年九月十三日」と書いてありました。

蒼前神、きつい山道や峠なんかに祀る神様だと思っていたんですが、平野でも見つけてしまいびっくり。荷駄用ではなく、農耕用の馬を守ってもらうために作ったのかしら。でもやっぱり、大正あたりで信仰は廃れてしまうんですね……。

神様ですらも滅ぶ。職場の博物館の収蔵庫にも、かつて街の中に祀られていたお稲荷さんや、古い家の屋敷神として祀られていた大黒様の像なんかが寂しげに置いてあります。またいつかどこかで、別の蒼前神に会うこともあるのでしょうか。

 

おまけ。B級グルメのいもフライ。揚げたては絶品です。

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【記録場所】栃木県栃木市大平町