気づけば民俗学や歴史・文化史系の本ばかり読んでいる私ですが、今回は「あれ? これってまずいの?」とドキッとしてしまった話をひとつ。
柳田国男の『禁忌習俗事典』が文庫化しまして、「これは読みやすい!」とパラパラめくって楽しんでいたところ、「えぇえ……」という俗信を見つけてしまいました。
(真っ黒な表紙がいかにもな感じです)
それがどんなものかと申しますと……
親縛り石(オヤシバリイシ)
白い線の通っている石。これを海辺などから家に持ち込むことを忌む(下総海上)。
鉢巻石(ハチマキイシ)
越後長岡付近で、石の周囲に白や黒の筋が一周しているのを鉢巻石といいこれを家に置くと病人が絶えぬという。信州でもこの名の石を嫌う処が多い。色は白とは限らず、筋の細く通った川原石をそう謂い、これを持って帰ると親の死目に会わぬとかまたは母親が頭痛を病むとかいう(下高井)。或いはこれを親巻石とも呼び、親を巻き殺すとさえ謂って……(以下略)
んんん? それってもしや、こういう石のこと?
左は白い線がぐるっと一周していて、右は灰色の2本線が微妙に一周しています。
単なる俗信だし、今の今までそんなことまったく知らなかったし、拾ったのはロシアの川で、私が住んでいるのは俗信が伝わっている地方でもないし……と思ったのですが、やっぱりいい気はしません。
でも、ちょっと待てよ?
世間には「信じる者は救われる」という言葉がありますが、私が勝手に創った言葉に「信じる者は呪われる」というのがありまして。呪いって文化圏や個人の信仰度合いによって効果のほどが違うんじゃないかと思うんです。
ならば誰かが「線がぐるっと一周してる石は、持ってると超ラッキーなんだって! 金運も恋愛運も仕事運も爆上がり!」と広めちゃえば、きっとそういうことになってしまうのでしょう。
……というわけで、この石は自分の中で超ラッキーな石ということにしておきます。だから運が上向かないかなぁ?(笑)