民俗女子の自由帳

~この世は不思議が多すぎる~

【怪談・奇談】眉唾もの? 嘘かほんとか考えさせられた狐とラジオの話

【秩父の山奥で、あるご老人から聞いた話】

ラジオがまだ珍しかったころなんだけど、それを畑に持っていって草の中に置いた人がいたんだ。そうしたら、通りがかった何も知らないおばあさんが、そばに転がっていた岩がしゃべりだしたと勘違い。「狐でも憑いたんだろう」って言うもんだから、のちに笑い話になったとさ。

 

※初めてこの話を聞いたとき、「不思議な現象」=「狐のせい」にしちゃう感覚が現代とかけ離れていておもしろいな、と素直に感心してしまいました。が、それを知人に話したところ、「ラジオが珍しかった時代っていつよ? そんな珍しくて大事なもの、わざわざ畑に持っていく? あと電源てどうしたの?」と立て続けに言われ、「言われてみれば……!」になってしまいました。

さっそく調べたところ、

  • 日本のラジオ放送の開始は1925年。そのとき使用されたのは鉱石ラジオというもので、ヘッドホン付き。とうぜん畑で使えない。
  • その後、真空管ラジオに移行。電池式で扱いが難しかった。あと高価だったので、やはり気軽に畑に持っていけなかった。
  • 1930年代、ラジオの低価格化と小型化が進み、国も国防強化の面からラジオを推奨したので受信者が急増。ちなみに扱いやすいコンセント式に替わったが、やはり構造上、畑に持っていくのは無理。
  • 1960年代、ハンディタイプで乾電池式のトランジスタラジオが登場。ラジオがひとり一台の時代に。

ということが判明しました。

つまり、ラジオを気軽に畑に持っていけるようになるのは1960年代。1925年の放送開始から実に35年もたっています。ここから考えられるのは、

  • 話者がおもしろがって作った嘘話だった。
  • まだラジオが珍しかった時代、というのは話者の勘違いであって、1960年代以降の話だった。(60年代なら江戸時代末期生まれの人でも90歳代でご健在。狐や狸のいたずらを信じる文化が普通に残っていた)

というふたつの説。私は後者の説を取りたいんですが、どうなんでしょう? できればロマンがあるほうがいいなぁ、と思うのは欲張りかな?